小児がん治療開発情報サイト

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(SUCCEED)


小児がん腫瘍別臨床試験報告論文数

臨床報告論文掲載数と小児がん患者登録数

小児がん腫瘍別5年生存率
(データ:5年生存率 SEER 2004-2010)

生存率 小児固形腫瘍サブタイプ比較
(データ:Journal of Surgical Research 170, e243–e251 (2011))

小児がん腫瘍別 生存率 vs 臨床試験報告数

※グラフ折れ線上の任意の年をクリックすると、任意の年の論文リストが表示できます。
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国際疾病分類第10版 超Delux with English 国際疾病分類 腫瘍学

HakaseTaro Inc, Japan

免疫療法:抗GD2モノクローナル抗体

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 GD2はdisialoganglioside2の略称で、”ガングリオシド” と呼ばれる細胞表面に発現する糖脂質の一 つです。GD2の発現は、神経細胞、表皮メラノサイト、末梢性知覚神経線維に限られ、神経芽腫やメラノーマなどの幾つかの悪性腫瘍 細胞では高発現し、腫瘍細胞の分裂・増殖を誘発することから免疫療法の有力な治療標的と位置付けられ、2009年、アメリカNational Cancer Instituteが作成した悪性腫瘍標的治療薬開発順位では、75治療標的分子中12位にランクされた期待の高い治療標的です。 海外ではマウス型、ヒト化マウス型、ヒト型の 抗GD2モノクローナル抗体が開発 され、それぞれの臨床試験が実施されています。

 2010年には、アメリカChildren’s Oncology Group(参加施設166)による臨床試験第3相ランダム化試験(COG ANBL0032 randomized phase 3 study)によって、ヒト化マウス抗GD2モノクローナル抗体(ch14.18)とisotretinoin(13-cis-retinoic acid)、GM-CSFまたは interleukin-2の併用効果(GM-CSFとinterleukin-2は試験プロトコールコース毎に入れ替え投与)が高リスク神経芽腫患者で確認、 発表されました(N Engl J Med. 2010; 363(14):1324-34)。試験報告によると、およそ250人の患者が試験に参加し、抗GD2モノク ローナル抗体による免疫療法と標準治療のランダム化比較臨床試験は113対113症例で実施されました。これら226症例中179症例が高 リスクに分類される神経芽腫患者でした。フォローアップ期間は平均すると2.1年、最長6.9年でした。その結果、表に示すとおり、 免疫療法群の2年無病生存率は、標準治療群と比較して20%優り、統計学的に優位な効果として差が認められました。免疫療法群で最 も多く発現したグレード3/4の有害事象は神経疼痛で、投与症例の52%が発症しました。神経疼痛は、投与プロトコール全サイクルの 25%のサイクル、すなわち、投与を始めた最初のサイクルで多発し(投与症例の37%に相当)、プロトコール最後のサイクルで発症する 割合は14%でした。他、グレード3/4の有害事象として毛細管漏出症候群、過敏症状が発現し、その発症割合はそれぞれ23%および25% でした。

 その後ch14.18投与で発症の認められた有害事象の減少、奏功率の増強を目的に、抗O-acetyl-GD2モノクローナル抗体、放射性同位 体標識抗GD2モノクローナル抗体、サイトカイン融合抗GD2モノクローナル抗体、および抗GD2モノクローナル抗体の分子の一部を組み 込んだキメラ抗原受容体が開発されています。抗O-acetyl-GD2モノクローナル抗体は前臨床試験段階、その他の開発抗体では第1相ま たは第2相臨床試験が既に進行中です。当サイト内「抗GD2モノクローナル抗体 臨床試験」にサマリーを、下記ClinicalTrials.govに よる臨床試験登録データベース検索サイトでそれらの詳細を調査できますので、是非、当サイト内、他ページをご活用ください。 キメラ抗原受容体を応用した免疫療法は、放射線照射や 外科的手術が困難である脳腫瘍や他の固形腫瘍への応用が研究され、既に、臨床試 験が始まっています。今後、未だ生存率の低い高リスク小児がんへの適応承認が急がれます。

 抗GD2モノクローナル抗体は神経芽腫治療薬として、もう間もなくアメリカFDAが承認すると言われています。 アメリカでも未承認の小児神経芽腫治療薬である抗GD2抗体免疫療法を評価する臨床試験が日本で開始されたことは大変喜ばしいことであり、今後、日本の 小児がん治療薬開発に留まらず、全てのライフサイエンス領域の有望な治療薬開発にドラッグラグが生じることなく、保険適用の もと投与できる治療薬開発法の改善に結びつくことを願います。なお、国立がん研究センターは本年2月5日付けで、「小児がん拠点病院 を牽引し、全国の小児がん医療の質を向上させるため」小児がん中央機関に指定されました。当サイト内ClinicalTrials.gov臨床試験登 録データベースによると、神経芽腫に対する数々の臨床試験が海外では実施されています。今後、日本の小児がん患者とご家族、および 日本の小児の健康維持の為、有望な治験開発は今まで以上に押し進めていかなければなりません。現在、日本の小児がん治療開発は専門医師らが計画す る医師主導治験に依存しております。これら医師主導治験は厚労省をはじめとする研究助成金で運営されることから、絞りに絞り込まれ た研究プロトコールのみが助成対象として採択されているに過ぎません。民間企業、一般の方の小児がんに対する知識と理解がより深ま り、一つでも多くの治療選択が可能となるよう小児がん治療開発にご協力頂けますと幸甚です。なお、アメリカ・EU・日本の三カ国では、 それぞれの医薬品規制当局による新薬承認審査基準を統一し、非臨床試験および臨床試験の実施に関するルール・手順書などを標準化し ています。この標準化によって、各国で開発する医薬品やその臨床試験、および医薬品申請が各地域で可能となり、日本では「医薬品の 臨床試験の実施に関する基準」として省令を整備しています。 「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」に関する省令を当サイト内に設置しました。小児がん治療開発を今後さらに押し進めて いくため、治療薬開発・治験に対する知識と理解を深めて頂けますと幸甚です。

なお、アメリカClinicalTrials.govによる臨床試験登録データベースによると、現在、GD2を標的とする、少なくとも、28臨床試験が海外 では進行中です。ClinicalTrials.gov登録臨床試験中、対象疾患を神経芽腫として実施された臨床試験および進行中の臨床試験については、 当サイト内「神経芽腫」 臨床試験データベースにて、調査・検索できますので、是非、ご活用ください。 また、 神経芽腫生存率疫学は、当サイト内にて詳細を掲載してありますので、ご参考下さい。

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免疫療法:抗GD2モノクローナル抗体

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GD2は、神経芽腫やメラノーマなどの幾つかの悪性腫瘍細胞では高発現し、腫瘍細胞の分裂・増殖を誘発します。 抗GD2モノクローナル抗体はGD2と特異的に結合して悪性腫瘍細胞の増殖を抑制します。

免疫療法:抗GD2モノクローナル抗体

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抗体は、生体内に異物が侵入した時、その異物を識別し特異的に結合するために産生されるタンパク質です。 モノクローナル抗体は、特定のタンパク質とだけ結合できる抗体です。すなわち、抗GD2モノクローナル抗体は、 生体内においてGD2とだけ結合するタンパク質です。モノクローナル抗体には、マウス型、ヒト化型、完全ヒト型、 およびキメラ抗体と呼ばれる4種類に分類されます。治療に応用する抗体はヒトの抗体、すなわちヒト型がより 安全と感がえられ研究されてきましたが、現在では、遺伝子工学の発展によって、特異的タンパク質との結合 に必要な部分だけマウスの抗体とし、抗体を構成する他の部位はヒトの抗体とすることが可能となり、治療薬と して応用できるようになりました。

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免疫療法:抗GD2モノクローナル抗体

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細胞障害性T細胞(英語名Cytotoxic T―lymphocyteの頭文字を使いCTLと呼ばれます)は腫瘍免疫応答の中心的役割 を担う細胞で、腫瘍細胞の増殖を抑制します。しかし、腫瘍細胞は成長や治療の過程でT細胞の作用から逃れる、す なわち腫瘍免疫応答回避機構を獲得します。この腫瘍免疫応答回避機構を克服する治療方法「キメラ抗原受容体」が 考案されました1)。キメラ抗原受容体は生体内に進入した異物に特異的に結合するモノ クローナル抗体の異物との結合部位と、T細胞の役割を果たすのに必要な細胞内シグナルを発生できるT細胞受容体の一 部をつなぎ合わせた人工受容体です。この人工受容体、キメラ抗原受容体を体外で患者T細胞に発現できるように操作 し体内に戻すことで発現する抗悪性腫瘍効果が期待されます。キメラ抗原受容体技術を応用したGD2免疫療法の臨床試 験が既にアメリカで開始されています(当サイト内「 抗GD2モノクローナル抗体 臨床試験」にリストアップしました)。
1) Eshhar et al. Proc Natl Acad Sci U S A 90:720-724, 1993

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抗GD2モノクローナル抗体 臨床試験

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日本で進行中の神経芽腫免疫療法医師主導試験

「難治性神経芽腫に対するteceleukin、CSF(mirimostim、filgrastim)併用ch14.18免疫療法の実行可能性試験および薬物動態試験(GD2-PI)」
(Feasibility and pharmacokinetic study of ch14.18 immunotherapy using teceleukin and CSF (mirimostim, filgrastim) for neuroblastoma )


対象疾患: 難治性神経芽腫
試験目的: 以下の2つの免疫療法の実行可能性の確認を目的とする。
1.ch14.18-IL2 + M-CSF(M療法)
2.ch14.18-IL2 + G-CSF(G療法)
試験相: 第Ⅰ・Ⅱ相
試験責任研究者: 原 純一(大阪市立総合医療センター/小児血液腫瘍科)
試験問い合わせ: 河本 博(国立がん研究センター中央病院/小児腫瘍科)

アメリカで進行中の神経芽腫免疫療法医師主導試験

抗GD2モノクローナル抗体(3F8)

  • マウスモノクローナル抗体
  • 親和性:Kd = 5nM
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
神経芽腫
Bone Marrow, Sympathetic Nervous System
3F8 + allogenic NK cells第Ⅰ相NCT00877110
神経芽腫3F8 + beta-glucan第Ⅰ相NCT00492167
神経芽腫3F8 + heat modified 3F8 + GM-CSF第Ⅰ相NCT00450307
神経芽腫3F8第Ⅱ相NCT00002458
神経芽腫3F8 + GM-CSF第Ⅱ相NCT00072358
神経芽腫3F8 + GM-CSF + beta-glucan + isotretinoin第Ⅱ相NCT00089258
神経芽腫3F8 (high dose) + GM-CSF + isotretinoin第Ⅱ相NCT01183897, NCT01183884

抗GD2モノクローナル抗体(hu3F8 based)

  • ヒト化モノクローナル抗体
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
神経芽腫hu3F8第Ⅰ相NCT01419834
神経芽腫hu3F8 + GM-CSF第Ⅰ相NCT01757626
神経芽腫hu3F8 + IL-2第Ⅰ相NCT01662804

抗GD2モノクローナル抗体(ch14.18 based)

  • ヒト化モノクローナル抗体
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
播種性神経芽腫, 切除可能な限局性神経芽腫, 切除不可能な限局性神経芽腫, 局所性神経芽腫, ステージ4S神経芽腫ch14.18 + GM-CSF第Ⅰ相NCT01418495
播種性神経芽腫, 切除不可能な限局性神経芽腫, 再発性神経芽腫, 局所性神経芽腫, ステージ4S神経芽腫ch14.18 + lenalidomide + isotretinoin第Ⅰ相NCT01711554
神経芽腫ch14.18/CHO + isotretinoin + IL-2 (continuous infusion)第Ⅰ/Ⅱ相NCT01701479
播種性神経芽腫, 切除可能な限局性神経芽腫, 切除不可能な限局性神経芽腫, 局所性神経芽腫, ステージ4S神経芽腫ch14.18 + GM-CSF + IL-2第Ⅲ相NCT00026312
神経芽腫ch14.18/CHO + isotretinoin + IL-2 + G-CSF第Ⅲ相NCT01704716

抗GD2モノクローナル抗体(hu14.18 based)

  • ヒトモノクローナル抗体
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
神経芽腫, メラノーマ, 骨肉腫, ユーイング肉腫hu14.18(K332A)第Ⅰ相NCT00743496
神経芽腫hu14.18(K332A) + IL-2 + GM-CSF + Natural Killer Cells第Ⅰ相NCT01576692
神経芽腫hu14.18(K332A) + IL-2 + G-CSF + GM-CSF第Ⅱ相NCT01857934

抗O-acetyl-GD2モノクローナル抗体

  • 抗GD2モノクローナル抗体8B6は末梢神経に結合しないことが示され、有害事象の減少が期待されています。1)
  • in vitro試験およびマウスモデルで腫瘍成長抑制効果が認められています。2)
1) Alvarez-Rueda, N. et al. PLoS One 6, e25220 (2011)
2) Cochonneau, D. et al. Cancer Lett. 333, 194–204 (2013)
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
8B6 (anti-O-acetyl-GD2)前臨床

サイトカイン融合抗GD2モノクローナル抗体

  • 抗GD2モノクローナル抗体免疫療法に併用するIL-2が誘発する毛細管漏出症候群の減少を目的にIL-2融合抗GD2モノクローナル抗体が開発され臨床試験進行中
  • 毛細管漏出症候群を誘発しないIL-15融合抗GD2モノクローナル抗体が検討中
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
メラノーマ(皮膚), 神経芽腫, 肉腫, 詳細不明な小児固形腫瘍hu14.18-IL2第Ⅰ相NCT00003750
神経芽腫hu14.18-IL2第Ⅰ相NCT00082758
再発性神経芽腫hu14.18-IL2 + GM-CSF + isotretinoin第Ⅱ相NCT01334515
c60C3-IL15前臨床
hu3F8-IL15前臨床

放射性同位体標識抗GD2モノクローナル抗体

  • 神経芽腫細胞は放射線感受性が高いことから放射性同位元素131Iを導入した抗GD2モノクローナル抗体が開発され、造血器に関連する有害事象の減少が課題とされている。
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
神経芽腫131I-3F8 + GM-CSF + bevacizumab第Ⅰ相NCT00450827
脳・中心神経系腫瘍, 眼球内メラノーマ, 肺腫瘍, メラノーマ(皮膚), 悪性腫瘍, 神経芽腫, 卵巣腫瘍, 網膜芽腫, 肉腫, 小腸がん131I-3F8 and 124I-3F8 (intra-Ommaya)第Ⅱ相NCT00445965
131I-hu3F8 and 124I-hu3F8前臨床
hu3F8 multistep targeting前臨床

キメラ抗原受容体

  • ヒトモノクローナル抗体
キメラ抗原受容体については当サイト内「免疫療法:抗GD2モノクローナル抗体」の中で解説しております。
対象疾患試験薬剤試験の相NCT試験番号
神経芽腫14G2a-CAR in EBV-CTL (1st generation)第Ⅰ相NCT00085930
神経芽腫iC9-GD2 (14G2a) CAR transduced T cells (3rd generation CAR with iCaspase safety switch)第Ⅰ相NCT01822652
肉腫iC9-GD2 (14G2a) CAR transduced VZV specific T cell + VZV vaccine第Ⅰ相NCT01953900
hu3F8-CAR前臨床

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      HakaseTaro Inc., Japan

      抄 録

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